2013年9月11日水曜日

バラナシでの日々(前編)

チャイ色をした河、母なるガンガー。


その恐ろしい大きさと流れの早さにぎょっとした。
ボートに揺られ、対岸から昇る朝日を背中に浴び、沐浴風景を眺めた。日の出と共に一様に沐浴を始めるその光景は静かなのに、不思議な迫力があった。


火葬場では今日も遺体が焼かれていく。白い灰がヒラヒラと宙を舞い、風に乗る。人間の体はこんなにも良く燃えるのかと、驚く。
煙は登り、頭上に濃縮された空気は淀んでいる様に、見えた。何だかクラクラする。
故人は今頃、どこの世界へいったのかな。呆気にとられていた。


蒔代を請求されても払わなくていいと、宿のスタッフに教えられた。けど、ここで火葬されるのを待つ、死を待つ、小さな老婆が手を差し伸べて来る。
横に立つ若い男が片言の日本語で金を払えと言った気がしたけれど、知らん顔でその場を離れるしか出来なかった。どうやら寄付を募っているらしいけど、真相は不明だった。


バラナシの町は一歩立ち入れば、巨大迷路に迷い込んだ様に、方向感覚を見事に失う。


狭い道には溢れかえるゴミに糞に漂う悪臭、強いお香の香り。
人に牛に犬に山羊に猿に、そしてここにも横たわる人、いつになく混乱した。何なんだ、ここは。

人集りの先には牛様がお構い無しに道を塞ぎ、人間は立ち往生している。ドボドボと豪快なトイレタイムが始まった。いつ見てもマイペースな牛様に、人間のペースなどまったく通じないのだ。

歩けば歩く程、迷子になり、気づくとメイン通りに飛び出てしまった。

再び町へ飛び込む。更に奥へと溶け込んで行けば、引っ切り無しに声をかけられる。適当に挨拶を交わし、お土産屋さんをひやかし、探していたラッシー屋さんに辿り着いた。
しばしの休憩。観光客がたくさん集まる「ブルーラッシー」と言う繁盛店は噂通り、今まで飲んだラッシーの中で断トツの美味しさだった。ここでもチャイ同様、使い捨ての容器だった。



つづく。

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