2013年10月6日日曜日

デリーでの日々

そんなわけで、デリーに戻ってから数日、失恋さながらの無気力状態が続いた。まさかの沈没って奴か。
実はデリー2度目なんだよね。

特にほんとに何もないデリーでは、仲良くなったオートリキシャの彼のマージン稼ぎに付き合ったり、コンノートプレイスの高級ショップを覗いてみたり、2人では食べ切れない料理を無理して胃に詰め込んではビールをあおったりと、やさぐれていた。

やっとタイミングがやって来てくれた。
薄汚れた窮屈な部屋で、その日も何をするでも無く過ごしていた。


嵐の様な異様なスコールが止んだ午後、目的地も定まらぬまま、大切な大切な彼らの言葉を噛み締めていたんだ。
彼らの悲しむ顔は見たくないし、次へ進むことをぼんやり考え始めた。

どこでも良かった。
結果、何となく砂漠へ行くことにした。
チケットを手に入れると、すぐにでもデリーを出たい気持ちになっていたから、ほっとした。

ジャイサルメールへは列車で18時間、久しぶりの長距離移動。

ジャイプルが近づくにつれ胸が騒ぎ出し、列車が止まると思わずホームへ飛び出していた。

彼らの姿を探したけれど、もちろん見つかるはずも無く、ほんとうに彼らと別れたことを思い知った。

そして、前にも1度、デリーからジャイプルへ戻った日のことを思い出した。
駅の階段を登ろうとした所、後ろからいきなり掴まれおどかされたんだ。
迎えに来てくれていた彼らはホームの近くに隠れ、私たちの姿を探していたらしい。
そのままトゥクトゥクに飛び乗ると、歓声をあげ物凄いスピードで道を逆走し、結局対向車にぶつかり睨まれて進めなくなったっけ。
トゥクトゥクを手で押し、来た道をバックで戻った時は、ほんとに可笑しかったし、泣くかと思った。
私たちが戻って来たことを心から喜んでくれていたから。

またそんなことを、少しだけ期待していたのかも知れない。

こうやって今忘れてしまっていることも、また必要な時に必要な分だけ思い出すんだろうな。それで問題ないんだと。

再び走り出した列車に乗り込むと、窓の外を眺めるのはもうやめにした。




つづく。

0 件のコメント:

コメントを投稿