2013年10月6日日曜日

ジャイサルメールでの日々

駅を出ると待ち構えていた客引きの中から、目当てのホテルTOKYO PALACEの送迎を見つけた。

話に聞いていた通り、それは豪華で清潔で快適な申し分のないホテルだった。これで500ルピーとは信じられない。スタッフも明るくて、これじゃまわりのホテルはかなわないだろうな、と思う。

日本人のバックパッカーはあまり寄り付かない屋上のレストランを私たちは占拠し、平らな砂漠の町、ゴールデンシティを眺めていた。

たっぷりと新鮮な風が朝には吹き込み、風のない夜には冷えたビールを飲んだ。
パキスタンまで100km程らしく、至る所に警官の姿を見かけた町だった。

ここで1泊2日のキャメルサファリのツアーを申し込んだ。

ラクダの乗り心地は最悪と言うか、ほんとに股が痛くてほんの10分で苦行になったけど、タラタラと歩くラクダの顔はマヌケで可愛らしい。

後ろに乗った10歳のラクダ乗り、アリの容赦ないセクハラを受け流しながら、ゆらゆらと進む。

目印も何もない、砂漠の中の何となくの場所が今夜、私たちが過ごす場所の様だ。

着いて早々、ラクダ乗りの少年2人は夕飯作りに取り掛かかった。乾いた木や草は燃料になり、グツグツと野菜を煮込んでくれる。チャパティも焼かれ、ライスも盛られた。
砂混じりのカレーは噛む度にジャリジャリと音を立てたけど、外で食べるごはんはやっぱり美味しいんだよね。
食事が終わると、後片付けを手伝う。皿は砂で念入りに洗うと、ピカピカになったのだ。

駅からいっしょだった19歳の東くんは初海外でインド1ヶ月1人旅と、逞しくも危なっかしく可愛い男の子だった。
見るもの全てに影響を受けている様子で、とても羨ましく思った。東京生まれ東京育ちの彼は流れ星を見たことがないと言う。

夜はすでに始まっていた。

誰かが一番星を見つけるとすぐに、辺り一面は満天の星空に変わった。散らばる無数の光の中に、流れ星もしっかりと流れ、東くんはご機嫌の模様。
真っ白に輝くミルキーウェイはどこまでも続き、世界中の空を見上げる人々と繋がってるのかと、心底ロマンチックな気分に浸った。

ひんやり冷たいサラサラの砂の上に寝転がり、全身砂まみれになりながら、ほんの些細な話がいちいち可笑しかった。

一通りのおしゃべりが止むと、一気に静寂に包まれた。

ここがインドなのか、どこなのか、砂漠なのか、どこなのか、わからなくなる様な不思議な感覚を覚え、気づくと眠りに就いていた。
並べたベッドの上で、多分長い時間、ぐっすりと眠った様だった。


早朝、少年たちに叩き起こされると、太陽が顔を出し始めるその時。
自分の目線より低い位置から、でっぷり真っ赤な太陽が堂々と昇っていく。
1日の始まりの印に、おはようとお礼を言った。


このまま、この流れに乗って、ジョードプルを目指そう。
青の町だっけ?うん、着いたらわかるか。




つづく。

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